君と歩く未知

 アタシたち二人…あっ、五人だった…
アタシたち五人は近所のパスタのお店へ足を運んだ。
歩いている間も直紀くんと美和ちゃんは腕を組んで仲良さげに歩いている。
それと対照的にアタシとカズくんはあまり人前でベタベタしない方だ。
だから、直紀くんと美和ちゃんのバカップルぶりが少し羨ましかったり…イヤ、そんなことはない。
だってバカップルなんて響きはカズくんとアタシには似合わないもんね。
 アタシたちが手を繋いでいないことに気が付いたのか、直紀くんがアタシたちに聞いた。
「なに?お前ら手繋がないんだ」
カズくんが笑って答えた。
「誰かさんみたいにオレらはバカップルじゃねぇしー。ってゆーか、弥生はあんまり人前でイチャつくの好きじゃねぇみたいだしさ」
そのカズくんの言葉を聞いてアタシは慌てた。
「イヤッ…アタシはそんなことないよっ!カズくんがイヤなんだと思ってたもん」
カズくんはなんだか満足そうに笑った。
そしてアタシの右手をぎゅっと握った。
「オレがイヤなわけねぇじゃん」
アタシは思わず顔を真っ赤にした。
 「きゃー!弥生ちゃんたち超ラブラブじゃん!いーなー。和哉、優しいでしょ?」
美和ちゃんにそう聞かれてアタシは頷こうと思った…でも、頷いてばかりで口をきかないのも良くないと思って思い切って口を開いた。
「…うんっ、すっごく優しいよ!でも美和ちゃんもラブラブじゃん、直紀くんだって優しいでしょ?」
アタシが答えると美和ちゃんは目をキラキラ輝かせた。
「えー、そうでもないよ?だって直紀ね、すっごいドSなんだよー!この間なんかさー…」
美和ちゃんがそこまで話すと直紀くんは美和ちゃんの頭を小突いた。
「そーゆー話はオレのいないところでしろ!」
直紀くんはそう言ったけど、二人はすごく幸せそうだった。
憎まれ口を言い合ってもお似合いなカップルだって思えた。