君と歩く未知

 アタシは静かにお腹に片手を当てた。
ねぇ、赤ちゃん。
お母さんはあなたを愛しているのよ?
だけど、あなたを産んであげられないかも知れない。
お母さんが悪いんだ…
ごめんね…ごめんね…

 アタシはあの日、人生で一番の幸せと絶望を味わってしまったね。
でも今思い返すと、あの日に後悔はないの。
アタシのお腹の中に赤ちゃんがやって来てくれたこと、すっごく嬉しかったから。
たとえカズくんの子じゃなくても、レイプの犯人の子でも、アタシは赤ちゃんのことを愛していたんだもん。
だけど、一つだけ残された後悔…
赤ちゃん、産んであげたかった…