不器用な二人








その時、楽屋のドアのノックが聞こえた。
しかし、その人は入って来る気配はなくてー…




「悠斗、時間だ。もうすくでヘアメイクさんたちが来る」




「ああ…わかった」




悠ちゃんはそう返事をすると、私から離れる。




「美遥。この撮影が終わったら、少し時間が空くから家まで送る」



「え…でもドラマの撮影は…」




「それからでも大丈夫だ」




だからいい子で待ってろよと笑顔で言われ、私は頷くしかできなかった。




その笑顔は反則だ…っ
ずるい…




私は悠ちゃんの楽屋を出ると、壁に寄りかかっているマネージャーさんを見つけた。




「なんだ、その顔は?いい事でもあったか?」




「え!?」




いい事…
それはあり過ぎた…




再会した時の悠ちゃんとは違う。
今はあんな冷たくない。


…逆に甘すぎる。




私…本当に自惚れそう…