「友達、ねぇ。美遥がそう思っても相手は違うだろうな」
「悠ちゃん…?」
「美遥。あいつには気をつけろよ?なんかあいつ、胡散臭いから」
胡散臭い…?
…どこがだろう。
優しい人だったけど…
「何かあったら、俺を呼べ……って言っても連絡先知らないか」
悠ちゃんはポケットの中から携帯を取り出す。
「美遥、携帯」
「あ…うん」
悠ちゃんに携帯を渡すと、悠ちゃんは素早く携帯を弄り、私に返してきた。
…もしかして、私より早いんじゃないかと思ってしまった。
「何かあったら、連絡して」
そう言われて、アドレス帳を開いたら“榊原悠斗”という文字が入っていた。
私の携帯に悠ちゃんの連絡先が入ってる…
まるで、夢みたいで思わず顔が緩んでしまった。
「ありがとう、悠ちゃん」
次は嬉しくて泣きそうだ。
悠ちゃんはふっと笑って、それは俺のセリフと言っていたけど、私はその意味がわからなかった。
でも、これで悠ちゃんと連絡取り合えるんだ。
私たちはそれぞれ家に帰り、私は子供みたいに寝る前までアドレス帳に入ってる悠ちゃんの名前を眺めていた。