不器用な二人










「山崎さん!私が払いますって!」




「だから浩太だってば」




レストランを出る時、山崎さんは伝票を持ってレジへ行き私の分まで払った。




カラオケ代を払って貰ったから、私がここの分を払おうとしたのに!




「浩太と呼ばないと、何にも聞かない」



「…っ」




山崎さんは耳に手を当て、何も聞こえない真似をする。




どうして、そんなに名前を呼んでもらいたいかわからないけど…



でも名前を呼ばないと、何も聞かないって言うし…



「こ、浩太さん…」




あまり男の人の名前を呼ばないから、少し恥ずかしい。



でも山崎さん…じゃなくて、浩太さんは嬉しそうに、はい。と返事をした。