不器用な二人








「美遥ちゃん、悠斗くんとじゃれあってる小さな女の子は娘の千里というの」




「む、むすめ…?」



この小さな女の子…千里ちゃんが砂羽さんの娘…?



え、じゃあ…砂羽さんの旦那さんって…




「あれ?美遥ちゃん、悠斗に聞いてなかった?俺、結婚して子供がいるって」




「き、聞いてない…」



なんで肝心なこと教えてくれなかったの、悠ちゃん!!




そんな悠ちゃんはまだ千里ちゃんとじゃれあってるし…




…でも、よく考えれば気づくよね。



ちーちゃんは弟しかいない。


だけどちーちゃんと同じ苗字の成人女性と小さな女の子。



…うん、普通は気づくね。


緊張のあまりに全然頭が働かなかった。




「ちゃんと説明しとけよ、悠斗。そして千里を返せよ」




「え?5分間癒させてくれるんじゃなかったっけ?」




「それはお前が失恋した時だけだ」




隣でいい大人二人が言い争い、千里ちゃんは悠ちゃんの膝の上に乗ってすごく楽しそうだ。




「美遥ちゃん、女同士で話しない?」




「え?」




砂羽さんは私に手招きをし、リビングを出てある部屋へ誘導される。