「去年の冬の期末テスト期間中に溝口くんと会ったのよ。彼は頭を抱えてすごく悩んでいたから思わず声をかけたのよ」




「それでそれで?」




「今度数学赤点取ったら、強制退部。それプラスに一ヶ月補習つき」




「うわぁ…」




私も数学苦手だから、一ヶ月補習があったら地獄だよ…




「溝口くんは数学が大の苦手らしく、勉強も自分で出来ないから、どうしようかと悩んでいたらしい。だからしょうがなく勉強を教えたのよ」




「じゃ溝口くんは退部にならずにすんだの?」




「かなりのギリギリだったみたいだけど、赤点は免れたって。わざわざ報告してくれたわよ」




「溝口くん、いい奴じゃん!それでそれで?」




「それで終わりかと思ったけど、たまに図書室に来るのよ。なんか犬に懐かれたような感じで…」




「そして、今では恭子の方が気になってるって感じなんだ?」




まぁ…そう。と恭子は肯定し、デザートを口に運ぶ。




有沙はいいなぁー青春だなーと嬉しそうに言う。



私も恭子が気になる男子がいるなんて、嬉しい。



このまま恋人同士になってほしい。
恭子の恋?を応援したい。




でもまずはその溝口くんの顔を見てみたいな…と思い、新学期が始まったら、野球部を見に行こうと密かにそう決心する。




それから私たちはずっと恋愛話で盛り上がり、解散したのはもう夜の7時になっていた。