不器用な二人








「美遥!一か八か!悠斗ー!!」



有沙はまた他の人と一緒になって、悠ちゃんの名前を叫んだ。




一か八か…

…そうだよね。
たとえ悠ちゃんに届かなくても、悠ちゃんの名前を呼ぶぐらいはいいよね?




「ゆ…」



悠ちゃんの名前を呼ぼうとしたと同時に彼はこちらを振り向いた。




…え?
どうして…?



しかしそれは一瞬で、悠ちゃんはスタッフと打ち合わせをしている。



「美遥!悠斗こっちに振り向いたね!」



「う、うん…」



有沙の他にも、こっちを向いたとか、私を見ていたなど、わいわいと盛り上がっていた。





うん、そうだよね。
あれはたまたまこっちに振り向いただけだもん。


こんな大勢の中から、私を見つけるなんて到底無理なこと。



…だけど、一瞬悠ちゃんと目が合ったのは気のせいだろうか。