不器用な二人








撮影が終わった後は、ファンからサインを求められる。



一人一人対応しながら美遥を見ていると、彼女は一人でふらっと何処かに移動した。



せっかく美遥が来てくれたんだ。
こんなチャンス、逃してたまるか!




俺は近くにいたユキさんを呼んで、美遥の後を追ってもらった。




ファンの対応を素早く終わらせ、携帯を確認するとユキさんからメールが届いていた。




トイレ、ね…
こんな長く入ってると、避けられてんのかねぇ…



ユキさんからメールが届いたのは、今から約三十分前。
それからメールが来てないのなら、まだきっと中にいるはず。