小さい頃から好きな奴がいる。
…といっても、気づいたのは五年前。
ずっと一緒にいて、いつも隣にはあいつがいたから、近すぎて自分の気持ちに気づいてなかった。
だけど、五年前のあの日。
あいつが用事があると言って、一人で稚嘉の家に遊び行って帰ってきた時だった。
母親からあいつの家は引っ越した、と。
そう言われた瞬間、頭が真っ白になった。
そんなこと、あいつは言わなかった。
引っ越すなんて、聞いてない。
だけど、知らなかったのは俺だけ。
俺の両親や近所の人らは知っていた。
あいつは…俺だけ何も言わず、俺の前から姿を消したのだ。