不器用な二人










それって悠ちゃんの仕事先に行って送ってもらった日だ。




車を戻してくると言って、先に私を降ろした時だ。



私は先にマンションに入って、エントランスで悠ちゃんを待っていたんだ。




それを…見られていたなんて…




「さすがの榊原悠斗も自分の車じゃ変装はしないんだね」




「…目的、は…何ですか…?」





せっかく…悠ちゃんと昔みたいに仲良くなったのに…




私のせいで、また…今の関係を壊したくない…っ




「目的?言ったでしょ?気に入った奴は必ず手に入れる主義だって」




浩太さんは相変わらずにこにことした笑顔で私にそう話す。




怖い…っ
浩太さんが…怖い…っ




「そっか。美遥ちゃんにはストレートに言わないとわかんないんだっけ?」




浩太さんは何か思いついたかのように、携帯を取り出し、操作をし始めた。




「これ。いい写りでしょ?」




「…っ!?」




そこには先ほど言っていた、私が悠ちゃんの車から降りた写真だった。


顔だって…はっきり見える。




「本当、最近の携帯ってすごいよね。こんなに綺麗に写るんだから」




「浩太、さん…」




「言いたいこと、わかってきた?」




そこまでされたら…誰だって気づく…


でも…信じたくなかった…





「この写真をマスコミにバラしたくなかったら、俺と付き合ってよ。美遥ちゃん」