「しかもそれが、榊原悠斗、なんだ?」
その言葉に目を見開き、ドクン、ドクンと胸の鼓動が鳴る。
なんで…、
なんで…、浩太さんが知ってるの…?
持っていたフォークを落としてしまい、皿に当たりカシャンと大きな音を立ててしまった。
「お客様!大丈夫ですか?」
音に聞きつけた店員さんがやって来たが、浩太さんが笑顔で対処した。
「そこまで動揺するってことは…合ってるんだ?」
「…っ、どうして…」
わからない…
だって、確かにあの時悠ちゃんと会ったけど…変装していたし…気づいてなかったよね?
なのに、どうして…
「俺ね、気に入った奴は必ず手に入れる主義なんだ」
だからね、調べたんだ。
あの日美遥ちゃんを連れ去って行ったあの男を。
笑顔で言う浩太さんに、私は怖くなった。
だって…
そんなこと…平然と言うなんて…
「悪いけどここ最近、美遥ちゃんの後をついて行ったんだ。尾行って意外とバレないんだね」
「…っ」
「そして、やっと見つけたんだ。あの男とその車から降りてくる美遥ちゃんをね」
まさか榊原悠斗とは思わなかったけどね。と浩太さんは自分の分のチョコケーキを一口食べる。


