不器用な二人








だけど浩太さんは何も聞いてくれず、ケーキを持って空いている席へ移動する。




「美遥ちゃん。せっかくのケーキなんだからさ」




これ以上は無駄な気がして…



私は渋々席に座る。




「ありがとうございます…」




「いーえ」



私はイチゴタルトをフォークで一口サイズに切り口に運ぶ。




んーっ!美味しいー!




そこで浩太さんがじっと私を見ていることに気づいた。




「…何ですか…?」




「ん?可愛いなと思って」



「ーっ」




危な…っ
また口に入っているのが、出そうになった…




「大丈夫?」



「…はい」




優しく声をかけてくれる浩太さんに私は返事をした。




元はといえば、浩太さんが変なことを言うからだ。





そう思いながら浩太さんを見ると、彼ははにこにこしていた。
そして…




「ねぇ、美遥ちゃん」




浩太さんは笑顔のまま、とんでもないことを言ってきた。





「前に会った彼が美遥ちゃんの好きな人?」




「…え?」