目が覚めると、身体は清潔にされてベッドにいて、しかも彼の腕枕の上で、朝をむかえていた。
ぐったりしながら抜け出して、あたりを見回すと散らばっていたはずの衣服がなかった。
彼が洗濯機にかけておいてくれたのだろうか、と彼のシャツを拝借して洗面所に行く途中で、ソファに目がとまる。
「………」
昨日の行為がまざまざと思い出される。
プレイボーイと言われるだけあって、彼の周りには女の人がたくさんいて、私に触れるときも、うまいんだろうな、と感じるだけの手管はあるように思える。
それに対して私は経験はほぼ皆無。彼には秘密だが初めては彼なので(彼には高校の初体験以来していないと言ってある)、私の身体は彼のやり方しか知らない。
馴染んだ身体が、行為の間理性を保てるわけがなく。
「はあ…」
今日はさっさと撤収しよう。小さく呟いて再び足を洗面所に向けようとすると、
「―――!」
「さーえちゃん、いつの間に起きてたの?」
後ろから引き寄せられた身体。
背中に押しつけられた素肌の上半身。
彼は、
「まだ、帰っちゃダメ」
妖艶な笑みを浮かべてそこにいた。

