__チュンチュン…。




 雀の鳴く声で、僕は目を覚ました。ぐるっと部屋を見回すと、一人の少女が布団にくるまって寝ていた。




「……?」



 訳が分からずに首を傾げる。少女はすぅすぅという安らかな寝息を立てている。



 
 ボヘーッとしている間に昨夜のことを思い出す。…確かリンと名乗る少女の亡霊が、僕の部屋に泊まりこんで…。




 しばらくリンの寝顔を見つめる。この子は、お化け。死んでしまった女の子。ハロウィンの夜に、急に現れた__。



 
 その時だ。部屋のドアがガチャッと開いた。




「かーいとっ!朝ごはんの時間だよーっ!」



 
 大声でそう言ったのは……僕の姉の、立川 静海。僕と三つ年が離れている。




 僕は目に見えない光のスピードでリンの前に立ちふさがる。



「す、すぐ行くから!」



 僕は手をバタバタさせながら、姉ちゃんにリンが見えないようにした。




「待ってるわねーん❤」




 …うちの姉ちゃんはやけに僕を可愛がっている。いわゆる、“ブラコン”である。



 
 その姉ちゃんにリンが見つかったら、やいやい言われるに違いない。