「あれ、これ何?」





 そう言ってリンが指差したのは、缶に入った、ドロップス。姉さんが昼間僕の部屋に置いてったものだ。






「ドロップス」






「何それ」




 

 リンは初めてドロップスを見たようで、しげしげとドロップスの缶を眺めている。






「食べる?」





 気づいたら、そんなことを言っていた。






「いーの?」






「手出して」



 


 僕は、差し出された白いリンの手に、ドロップスを落とした。





 転がり出たのは、黄色の、パイナップル味のドロップス。


 



 リンは恐る恐る口にドロップスを入れると、カラリカラリと口の中で転がす。






「あまーい!おいしーい!」





 そう言って、リンはふわっと笑った。初めて見るリンの笑顔だ。





「もっと食べる?」





「うん」


 

 リンはちょーだい、というように手を出した。