「ねーねー海斗、似合ってるー?」



 帰り道、リンはキャッキャとはしゃぎながら僕に訊く。



「さあ?」



 僕はわざと答えをぼかす。



「えぇー、ケチぃ。どうなのよー」



 リンはぷくーっと頬を膨らませる。まるでリスみたいだ。



「あたしこの服大切にする!」



 まるで新しいおもちゃを買ってもらった時の小さい子のようだ。



「だって、海斗に買ってもらった服だもん!」



 

 _____その瞬間、僕の中に、今まで感じたことのないような感情が、体の中を駆け巡った。



 好き。



 少女漫画なんかじゃ頻繁に出てくるような言葉。




 非現実的だと思っていた。特に、あの子を忘れられなかった僕としては。



 
 __大好き。




 僕はもう、気付いていた。



 それが、恋だということを____。