病室は、隆とあたしだけになった。




 海斗と南さんは、話すことがあるらしく、どこかに行ってしまったし。



 
 そうしたら、いつの間にか隆と二人きりなっていた。





「たーかし……」




 
 試しに読んでみるけれど、これで隆が起きるわけがない。




 はぁ、とため息をついて、目を閉じる。




 隆は、南さんのことが好き。だけど、南さんの好きな人は、わからない。





 _____両想いになっちゃえばいいのに。






 思わずそんなことを考えてしまう自分が、ちょっとだけ嫌になった。




 好きな人と過ごせることは、本当に貴重なことだ。




 特に、あたしみたいな人にとっては______。




 本当は、皆の恋が、叶って欲しいんだけど。




 そんなふうに行かないのが、現実だ。




 たとえ恋が叶っても、悲しんだり、苦しむ人は、必ずいる。