「見てて」


 
 リンは、惣菜パンの袋を破った。



「いただきます」



 小さな声で、リンは、上目遣いで僕を見上げた。



「…いいの?」



「…食べろよ」



 僕は、わざとぶっきらぼうに言った。__少し、照れくさかったから。



 リンは、ニコッと小さく微笑んで、「いただきます」ともう一度言った。



 ユーレイが、この三次元の世界の食べ物を食べるのか?と疑問に思っていた僕だが…。


 
 リンは、惣菜パンの二十センチほど上に手をかざし、スゥーッと上に引くような仕草をした。



 すると、リンの手の中に透明な惣菜パンが現れた。



「すごいでしょ」



 まるで、おもちゃを自慢するようにリンは僕に言った。



「これ、このパンの魂…みたいなものを取るの。海斗、このパン食べてみて」



 そう言ってリンが僕に渡したのは、…魂…の抜けたパンだった。



「…?」



 試しに少しかじってみる。