本当は、噂で聞いているんだ。
『営業二課の佐々木さん、大手の新規取ってきたらしいよ!』
『今年の新入社員でしょ?何だっけ、可愛い名前の・・・』
『・・・マコちゃん!!』
凄いなあ、って聞いてた。
同じ同期なのになあ、って。
私はまだコピーやFAX。
雑用なのに・・・
『お客さんの所行くと、緊張しちゃって。
自分でもたまに何言ってるんだか分からなくなっちゃう時があってさ。』
「・・・そうなんだ。マコちゃんでも?」
『まだまだだよ!うちの主任の小山さんなんてこの前さ・・・
私なんて、まだ外に出して貰えないよ?
営業先なんて、行った事ない。
営業二課の主任の話をしてるマコちゃんを少しだけ、ほんの少しだけ横目で見て。
ほんのちょっとだけ、嫉妬した。
そんな自分を嫌いになりそうだった。
『じゃあ、具合気をつけてね!なんかあったら電話して!』
どこまでも優しいマコちゃんに心の中で謝りながら電車に乗って帰路につく。
