俺の指定でも 良いか?

そう言いながら向かった先は、お洒落な居酒屋。


「・・・綺麗。」

店内の水槽を見て、思わず声が出てしまう。


『仕事 慣れた?』

「・・・良く 分かりません。」



『もう少し 力を抜け。
 じゃないと 疲れるだけだぞ。』

「はい。」


『分からない事は どんどん聞け。
 先輩に聞けないなら 俺に聞いても良いから。』


  どうして、先輩に聞けなくて主任に聞けるんですか。


『俺は 神戸を初めて見た時から 出来る子だと思ったよ。』

「・・・え?」

『だから、うちで面倒見ることにも、した。』

「・・・」

まさかの 話だった


ゆっくり話す主任の声が よりゆっくり 聞こえた。

まるで 主任の声を逃すまいと 必死でスローモーションかけてるみたいだ。

「でも、佐々木さん」

二課に配属されたマコは、噂もたつ程に優秀で―

『まだ分からない。 だって まだ半年だよ?』


そう言って、笑った主任を見たのは

初めてだった。