「昨日言ったでしょ?俺から蕾を消してって」

「…」

「俺も頑張ってるからさ…」

「馬鹿」


私は涙を乱暴に腕で拭い、彼に近付いた。


「消したりなんかしなくても良いんだよ」

「…」

「彼女は、ずっと葵の中にいるよ」


私は馬鹿だ。蕾さん以上になれる?とか聞いといて、こんなこと言って。

でも、彼が頑張ってることが正しいとは思えなかった。


「俺はさ、蕾を好きでいたまま、桜葉を好きでいられるほど器用じゃない」

「…」