「…蕾さんって、誰なの?」
「俺の大切な人」
私の急な質問に嫌がりもせずに、微笑みながら答えてくれた。
私は地べたに座り込み、彼を見つめた。
「…今、どこにいるんですか」
「天国だよ、地獄かもしれないけど」
でも、と言って彼は息を吸った。
「俺に沢山幸せをくれた人だから、地獄な訳ないけどね」
今までで一番自然な、優しい笑顔だった。
どうしよう、凄く胸が苦しい。
もっと、彼を知りたい。
どこまで入って良いのかわからないけど。
「何で天国に行っちゃったの?」
「事故。まぁ蕾他校だったからうちの高校では少し話があったくらいなんだけどさ」
「え?あの一年の秋の…」
知ってるんだ、と言って、彼は私から目を反らした。
私達が一年の頃の秋。他校の生徒が事故で亡くなったという話を先生がしていた。
事故って確か…

