彼と出会って三日目の放課後。

私はまた桜の木が立つ校舎裏に行った。

そこに彼の姿は無かった。


「…あれ」


木の後ろから力のない手が見えた。

誰かいる…。葵かな?

木の後ろを見に行くと、やはり彼だった。

気持ち良さそうに眠る彼を、じっと見ていた。

…肌綺麗だな…どんな手入れしたらこうなるんだろう。


「そんなまじまじ見ないでよ」

「すいません!」

「敬語。」


いきなり目を開いた彼に、思わず謝ってしまった。


「ご…ごめん」

「桜葉部活やってないの?」

「テスト期間だから無いよ」

「あぁーそういやテストあんのか」


…頭良いんだろうな。