それから2年の月日が経ちました。その間に明石の尼君と
朱雀院様が相次いで亡くなられ。紫上様が亡くなられてからは
続々と孫姫や孫宮がお生まれにはなりましたが。

やはり老いたる源氏は時代の移り変わりというか世代交代というか
名前も覚えられないくらいの数の孫には手を焼きつつも子が少ない分
末広がりに喜びながらも兄の院や功徳の権化尼君のおなくなりには
かなり心を痛めておいでのようです。

ちなみにこの年のお孫様たちをご紹介いたしておきます。御長男冷泉院
様には中宮になれなかった弘徽殿の女御に姫が居られますが表にはお出
になられません。薫の宮をお子のように育てておられます。9歳くらい。

次男夕霧の大将には惟光の娘典侍に2男2女ともに中学生くらい。
雲居の雁に4男4女皆小中学生くらい。

養女玉鬘には3男2女小中学生くらい。長女の明石の中宮には4男1女
全て小学生くらい。というわけで老いたる源氏の晩年は24人の孫
その半分はやんちゃ盛りのちびっ子たちでした。

中でも薫の君は明石の中宮や玉鬘のお子達としょっちゅう一緒に遊んで
おられ引っ張りだこでした。ひときわ腕白な三宮(匂宮)は事あるごと
に1つ年下の薫の君を意識されその焼きもちも半端ではありません。

この二人がこれから後のこの物語の主人公になっていきます。
薫の君はどこでどうお耳にされたのか自らの出生の秘密を感じ取られ
世の無常にお若いうちから仏道修行に挑戦しようとされます。