雨の日カレシ




『嫌だ、行かない』って駄々をこね続けたけど、結局連れてこられた。


だけど、さっきみたいにバタバタしている人はいない。


たくさんの管に繋がれたお母さんがベッドに横になっているだけ。



「お母さん?」


「・・・」



呼びかけても返事はない。


目も開けないし、手を握り返してもくれない。


・・・こんなの嘘だ。


夢・・・悪夢なんだ。



「私、信じない。お母さんは絶対に起きるもん!」



どうしようもないことだってことは分かってる。


だけど、今はまだ生きてる。


今夜とか明日とか、そんなの知らない。


『今』生きてる。


それが大事だよ。



「何かあったら呼んでください」



先生は静かに言って出て行った。



「・・・優衣?どうして優衣が優衣って名前になったのか、教えてあげようか」



お父さんはベッドを挟んで私の向かいに立った。


どうして今そんなに落ち着いていられるのか分からない。


だけど、お父さんの優しい顔に思わず頷いた。