「はい、そうです。母に何かあったんですか?」
『お嬢様ですか?すぐにお父様に連絡していただけますか?
お母様が危険な状態になりました。病院に着きましたら受付で名前を告げてくださいね』
頭が真っ白になった。
受話器を持ったままテレビの上にある写真を見つめる。
卒業式の日、お父さんとお母さんと私の3人で撮った写真。
みんな満面の笑顔で写っている。
だからこそ、この電話が信じられない。
「・・・優衣ちゃん?」
「詩織ちゃん・・・どうしよう」
詩織ちゃんはとても心配そう。
内容は聞こえなくても、私の言葉と雰囲気で何かを感じ取ったんだと思う。
「とりあえず、お答案に電話して?優衣ちゃんは病院に急いで。
私は・・・大和くんにお願いして岡田くんに伝えてもらうから」
「・・・うん」
ほぼ放心状態のまま、再び受話器を耳に当ててお父さんの携帯番号を押す。
『もしもし、優衣か?』
「お父さん、病院に行って。お母さんが危険だって。受付で名前を言ってって」
『・・・優衣、すぐ帰るから家にいなさい』
電話はすぐに切れた。
自分で受話器を戻す力もなくて見かねた詩織ちゃんが戻してくれた。


