何度か電話したことがあるから、この会話には慣れた。
ただ、人と話すのは苦手。
『それでは、お母様をお呼びしますのでしばらくお待ちくださいね』
「はい、お願いします」
メヌエットの保留音。
昔はよく待っている間に口ずさんでたっけ。
『もしもし、代わりました。優衣?』
お母さんの声だ。
「うん、そうだよ。久しぶり」
最近は勉強が忙しいのを理由に病院に行けてなかったから。
『優衣・・・インフルエンザにかかってたんだって?』
「え、何で知ってるの?」
『お父さんから聞きました。心配だけど側にいてあげられないって嘆いてた』
少し笑いながら教えてくれるお母さんは調子が良さそう。
「そっか・・・あのね、お母さん。今日、お弁当作って行っても良い?」
『え?良いけど・・・学校は?』
「受験が終わって自由登校。暇で暇で仕方がないの」
電話の向こうでお母さんが考えているのが分かった。
何か検査でもあるのかな?
『1時間なら大丈夫。お弁当楽しみにしてるわね』
「うん!じゃあ、また後でね!」


