一匹狼な彼氏と能天気な彼女




「なになに陸斗さ~ん、今何か聞こえたけど~?」


ニヤけそうになる顔を懸命に堪える。



「…空耳だろ。」

「そっかー空耳かー。」


なんか強がり始めたよ。

こっちだってそれなりの手はあるんだからねー!



「あーヤバイ!超おいし~い~!」

「……。」

「おいしすぎて何も言えねぇ。」

「……。」


あたしも陸斗も一歩も譲ろうとしない。


もぉー…こうなったら最終手段っ!!



卵焼きに箸をさして…


金髪の上でプラプラと泳がせてみた。



「最後の一個の卵焼きが飛んでるー!!
おいしそー!!」

「……。」

「……。」


あまりの反応の薄さにあたしまで無言になっちゃったじゃないか。


諦めて卵焼きを口に入れようとした、その時。