この道を、君と

「これ渡そうと思ってさ」

カバンから大事そうに取り出されたのは、少し不器用に、でもきれいにラッピングされた半透明の袋

無意識に差し出した手にそれが乗る

「…これ、柊二が…?」

「まさか。俺が作ったらもっと形がいいよ」

俺の器用さ、知ってるだろう?

と笑う彼はあの頃と少しも変わらない

「じゃあ…」

「澪が。お前にって」

そう告げた柊二は優しい瞳を手の上の袋に注ぐ



口の中だけでその名を呟いて、震える手を隠すように袋を胸元に抱く

ぎゅっと噛みしめた唇を開くことは出来ない

開いたら、何かが崩れそうで

何も言わず、言えずただ沈黙が流れるのに身を任せるしかない

背後で竣と芽衣が眉を寄せているのが、気配でわかる