この道を、君と

ふと記憶を手繰った砂都美に

「そうだ、砂都美。あんたにお客さん。7時半くらいかな?見えられて、ロビーで待ってるってよ。男の」

そう告げ、ロビーの方を指さす芽衣

「男!?」
反応したのは竣だ

「え、7時半から?もう30分も待たせてるじゃない!!」

どうして内線くれなかったのよ!!

「だって、もう時間外だったし。それにお呼びしましょうかって聞いたら、いいですっていうから」

「あんた受付嬢でしょうが」

「言ったでしょう?時間外だったの」

さらりと告げる芽衣に軽くめまいを覚えながらロビーの方へ歩き出す

ロビーを通らないと出口にたどり着かないので、もちろん芽衣と竣もついてくる

竣が、「ああ、これで本当にチーフとの食事が消えうせた」なんて嘆いている

そんなに落胆するほど断っただろうか

背後での嘆きとそのあとに続く快活な笑い声を聞きながらふと視線を上げると

「…、しゅう、じ?」