この道を、君と

「どうしてそういう発想に至るのかまったくわかりませんが、俺は至って真面目にチーフを待ってたんです」

「そう。…で?」

一階ずつ下がっていくエレベーターの表示を見つめながら問いかける砂都美に

「チーフって、天然ですか。それともそれは計算のもとですか」

コートを着込んだ竣がはあ、とため息をつきながら告げる

「って、そんなことどうでもいいんですよ。とにかくチーフ、今日これから食事でもどうですか」

「それが私を待ってた理由?」

ふと見上げられた視線に、エレベーターの照明が反射する

「そうです」

「…却下。明日朝一で会議なの」

その資料を作らないといけないから

タイミングよく開いたドアを通り抜けながら砂都美が告げる

「ちょ!!チーフ!!それはないですって!!」

チーフ!?

背後で後れを取った大林の悲鳴が聞こえる