「こんにちはー」

チリン、とベルが鳴り、来客を告げる

「あら、いらっしゃい」

ほほ笑む店長さんはおなじみだ

「あのね、みおね、おねえさんになったんだよ」

カウンター越しにいる店長さんに脈絡もなくうれしそうに告げる澪は、この一年ですっかり姉の顔になった

「あら、おめでとう。今日はお祝いか何か?」

まるで自分のことのようにうれしそうに微笑んでくれる店長さんに

「今日、砂都美と下の子が退院したんで、お祝いを」

と柊二が答え、な、砂都と後ろを振り返る

「はい」

そう答えた砂都美は幸せそうだ

良かった

その笑顔を見ながら、秋穂は心の中でそうつぶやく

柊二と澪がケーキの入ったショーケースを覗きながら、

あーでもない、こーでもないと言っている姿にさらに笑みがこぼれる