この道を、君と

澪と手をつないで、捨てられていなかった砂都美用のスリッパに足を通して進む

「変わんないね」

部屋を見渡しながらコートを脱ぎ、つぶやいた砂都美の背に

「困るだろう。帰ってきて物の配置が換わっていたらさ」

器用にコーヒーを入れる柊二が、何言ってるんだと言わんばかりに返す

その言葉にふと振り返ると、コーヒーをテーブルに置いた柊二と目が合う

「三年前さ、決めたんだ、俺と澪で」

話し出す彼の口調は、付き合ってほしいと告白してきたときとプロポーズしてきた時を思い出させた

「たとえ5年、10年、もっと長くなっても砂都美を待とうって」

「…柊二」

ふと優しさを宿す瞳が大好きだった

いや、今だって大好きだ

「まあ、俺がそう決心できたのは、澪のおかげなんだけど」

自嘲的な笑みは、きっと照れ隠し