この道を、君と

「…なあ、砂都」

沈黙を破ったのは、柊二の方だ

気遣わしげな声

顔を上げることは出来ないけれど、声音だけで彼が今どんな顔をしているのかがわかってしまう

だから、気づかれないようにもっと唇を噛む

「まだ、許せないか?」

すごく短い問い

でもとても的確で、柊二の思いを知るには十分だ

さらりと流れる髪のおかげで見えないことをいいことに、そっと瞳を閉じる
そうすること数秒

意を決したように顔を上げる

「無理よ」

今、自分はちゃんと彼を見つめているだろうか

悲しい瞳なんてしていないだろうか

「…そっか」

ふと彼の瞳にさびしそうな光が宿る

そんな瞳、見たくないのに

「でも、それは受け取ってくれよ。頑張って作ったんだから」

また元の優しい光の宿る瞳に戻って、柊二が砂都美の手の中にある袋を指さす