それは、不意に耳に飛び込んできた。


聞き覚えのない歌声とメロディに、聞いたことのあるフレーズ。


はじめは気のせいだと思い直して、止まりそうになった自分の足をもう一度動かした。


だけど一言一句、おそらくサビと思われる部分までが記憶と一致するとなると、すんなりと聞き流せるわけがない。





学校帰り、駅前のアーケード街を歩いていた私は、今度こそ足を止めた。角の天井に設置されている音質の良くないスピーカーを見上げる