「いや、別に」
「え、何すか、それ。めっちゃ気になりますから!」
「うるさい」
俺が一蹴すると、シュンとした顔を見せる咲夜。
その姿はまるで小動物みたいだ。
あかりがうまくいったとか、そんな事わざわざ言う必要あるんだろうか。
ないよな。
咲夜は今、新しい店でいっぱいいっぱいだし。
それを俺が動揺させてどうする。
やっぱ言う必要ないな。
そう、決めて俺は咲夜を残しRLFへと戻った。
RLFに行くと、カウンターに立つ拓海と目が合う。
「お疲れ様です」
「ああ。どう?」
「ぼちぼちです」
「そうか。外にどんだけ出てる?」
「新人はほぼ出てます。あ、皐さん来てますよ」
「…早く言え」
「すみません」
俺は襟元を整えると、すぐに皐の元へと向かう。
皐は昔から来てくれてる太客だ。


