あたしの証~番外編~

「昨日、あかりちゃん、何も言って来なかったわ」

「そうか」

「…でも、とっても嬉しそうだった」

「…そうか」


例え、彫っても彫らなくても、あかりは家を出て行くだろう。


だけど、順調に行けばそれだけ家を出る事が早まるし、確実になる。
それがわかってるから、りなは悲しそうに笑う。


「ダメね、私が元気ださないと!」


りなはスクッと立ち上がると、腕捲くりをして掃除を始める。


「こう言う時は、部屋を綺麗にするのが一番よ!」

って言いながら。


りなは昔から、掃除をするのが好きだったからな。
ストレス発散に近い。

綺麗になると、とってもスッキリするんだそうな。


…あかりが帰宅したら、彫りモン、見せて貰うかな。


そう、思いながら俺は浴室に向かって仕事へ向かう準備を始めた。