「おいしっ、りなさん。明日これお弁当に詰めてね」
「ふふ、わかったわ」
「ゆうや、ほら、これ」
「ああ」
あかりがせっせと俺のお皿へと料理を運ぶ。
それに苦笑した。
「はあ、お腹いっぱい!私、先に部屋にいるね。
りなさん、ご馳走様っ」
「はいは~い」
あかりははお皿をシンクまで持って行くと、自室へと戻って行く。
途端に静かになる部屋。
別にこの沈黙は嫌いではない。
「あかりちゃん、嬉しそうだったわね」
「そうだな」
「…いつか、家を出て行くわよね」
「……」
りなはぽつりと呟く。
その顔が切なげで、俺は何も言えない。
「本当に娘になって欲しいわ。
あかりちゃん、あれだけ働いてるのに何も買わないんだから。
…家を出て行くお金を貯めてると思うの」
「……そうかもな」
きっと、なつきと会って。
全てを清算したら、家を出て行くのだろう。
地に足をつけて歩くのは、その時かもしれない。


