「…聞かないのか?」
「え?」
「あいつのこと」
あかりは言葉を選ぶように、視線を上に向けてから俺を真っ直ぐと見た。
「だって、色々な人がいるし。
大好きな人が…男だった。
それだけでしょ…?」
……それだけ。
こいつはそう思えるのだろうか。
同性愛。
世間の風当たりは冷たい。
男を好きでいて…何が悪いのだろうか。
そう、突っぱねてきた俺をこいつは初対面で。
ほんの数分で。
認めたんだ。
…俺が連れて来たのはあながち、間違いではなかったのかもしれないな。
ふっと、笑みがこぼれることに驚いていた。
「りなは。
あんな見た目だけど、本当は臆病ものなんだ。
心は本当に少女みたいに繊細なんだよ」
りなのことを俺は本当に愛していた。
だから、あかりのこの言葉がどれほど俺を救ったか。
本当にわからない。
でも、あかりはそれを狙って言ってるんじゃなくて。
天然で言ってるから。
だから、余計俺はあかりを大事にしたいと思えたんだ。


