ルンルンしながらご飯を作るりなはご機嫌だ。
ずっと二人きりだった部屋に、違う風が舞い込んだのは事実だ。
しかも。
それを招き入れたのは…俺だ。
りなは多分このままあかりが家にいることを受け入れてくれるだろう。
むしろ、喜んでくれるはずだ。
案の定、りなはご飯をおいしいと平らげるあかりに上機嫌だ。
鼻歌を歌いながら買い出しに行くためにメイクをしようと、部屋にこもった。
二人きりになると、部屋にはまた沈黙が訪れる。
俺をちらちらとあかりが気にしている。
大丈夫だ、俺は取って食ったりしねーよ。
「あ、あの」
そんなびびらなくてもいいんだけど。
ちらっとあかりを見ると。
「あのおかまちゃんの名前って…」
おかまちゃん。
……
「ああ。彼女はりな」
敢えて。
彼女と言った。
りなは見た目はどこからどう見ても男だ。
だけど、心の中はそこらへんの女よりも綺麗で。
そんな俺の言葉をまじまじと聞き入れたのに、あかりは何も言わなかった。
だから俺から聞いていた。


