あたしの証~番外編~

翌日。

職場に到着して、扉を開けて挨拶をするときょうさんの声が聞こえた。


「なつーおはよー」

「おはようございます」

「…んじゃ、俺行ってくるわ」

「さりなさんのとこっすか」

「えっ」


外出準備を始めたきょうさんが俺の言葉に明らかに動揺した。


ああ、まじでさりなさんか。


「了解です、楽しんできて下さいね」

「いや、違う、さりなではない、いや」

「動揺しすぎです」

「だって、いきなりなつがさりなって言うから。俺には禁句なんだよ」

「いいんすか、今度言いつけますよ」

「勘弁してくれ~」


泣きそうになりながら、きょうさんが手を合わせてくる。
「はいはい、わかりました」と軽くあしらったが、きょうさんは部屋を出る最後まで「さりなには言うなよ」と言っていた。



本当に、相思相愛だな、きょうさんとこは。
お互い好き合ってるのに、付き合ってないのがおかしいぐらい。