きょうさんははあっと溜め息を吐くと、情けない顔で笑う。


「何だかんだあかりちゃんの事、大好きなくせに。
素直じゃねえんだよ、なつは。
あかりちゃんのがよっぽど素直じゃないか」

「………」

「あんな、言わせてもらうが。
…あかりちゃんは傷付かなかったのかよ?」

「あかり、が」

「そうだよ。あかりちゃんはなつを好きだったんだろ?
その相手が、実は最初から裏切る為に近付いてきただなんて知ってみろ?
もう、誰とも関わりたくなくなるぐらい傷付いてもおかしくねえか?」



ぐさぐさと、その言葉が俺の心に突き刺さった。
きょうさんの言葉があまりにも正し過ぎて。



「な?そんなあかりちゃんが、もう一度あのタトゥーを彫ってくれって…、“なつ”に頼んだんだぞ?
あかりちゃん、他にもタトゥー彫ってただろ?
その人に頼めばいいじゃねえか。
だけど、わざわざ冷たくされるってわかりながらなつに頼んできた。
……後はわかるよな?」