あたしの証~番外編~

その絵が描かれた紙を手に取ると、俺は静かに開いた。

そして、その内容を見て、息を飲んだ。


そこには、俺の名前と、一輪の薔薇があったから。

それは、過去。

俺があかりに復讐と称して、彫ったモノと酷似していたから。



「……ごめんね。
あたし、あれ消しちゃったんだ」

「消した?」


何を言ってるんだ?
消した?


そう言うと、顔を俯かせながらあかりは衣服の裾を少しだけ上げる。
そこは俺の彫ったタトゥーがあるはずだった場所。


微かに残るタトゥーと、火傷の様な痕。


「お、前これ何で消した?」

「ん…鉄の棒…?」

「……焼いたのか?」


静かにコクンと頷く、あかり。

それに、どうしようもなく胸が苦しくなる。


そんなに、俺が嫌いだったのか?
憎かったのか?

もう、名前も残したくない程に。