「………な、つき」
そうやって、声が聞こえた時。
俺は愛しい気持ちが全身を支配していた。
「あかり?」
「…なつきぃ」
俺の名前を半ば叫ぶ様に発しながら、泣くあかり。
「あかり…」
泣くのを我慢する事を辞めたあかりは、わんわんと通話口で泣いていた。
「声、聞きたかった」
俺の本心だった。
もう、あかりと今話せている事が夢だと思った。
ずっと、ずっとあかりの声が聞きたいと思っていたから。
だけど、それは願う事はない夢。
「嘘、だよ」
「嘘じゃねえよ」
「…嘘で…しょ…?」
「嘘じゃない」
嘘なわけあるか。
こっちはあかりを想った二年だったっていうのに。


