「だって…俺も麻美忘れる気ないし。
つか、無理だし。
そういう気持ちって…理屈じゃ無いじゃん?」

「……哲」

「あかりちゃんに謝って…好きだって伝えてみたら?」

「…無理だって」


あんな振り方をして、どうして好きだって伝えられる?
どうして…またあかりを欲しいと言える?


くしゃっと髪の毛を握り締めると、哲がいつになく真面目な顔つきで俺を見つめた。



それから。


「それが夏樹のした事だ」



そう、低い声で言った。


ドクンと心臓が大きく鳴る。



「あかりちゃんにした事は…それほど酷かったんだ。
信じていたからこそ、夏樹の裏切りは苦しかったはず」



哲の言葉がグサグサと胸に刺さる。

わかってる。


わかっている。


「だけどね、夏樹」

柔らかい言い方に顔を上げて哲を見る。

哲はふっと笑うと


「それでも、全身全霊で謝ったら…。
あかりちゃんならわかってくれると思うけどな」

そう、言った。