TATTO STUDIOに到着すると、すっかり哲への電話は忘れていて俺は仕事をこなしていた。

思いだしたのが仕事を終わらせて、家に到着してから。


慌てて哲に電話をかけた。
哲の声がすぐ通話口から聞こえる。


「哲、ごめ…」
「なーーーーつーーーーーきーーーーー」


ごめんと言い終わる前に哲がキーキー叫ぶ。


「夏樹、シカトされたかと思ったよーー」

「…ごめんごめん、後でかけようと思って忘れてた」

「ひでえ」

「あはは」

「ぶーーー」

「何だそれ。
てか、遊ぼうっていつ」

「明日」

「は」


思わず、携帯落としそうになったわ。
明日って何だ、明日って。


「俺、仕事」

「いいじゃん」

「何が」

「あはは。明日そっち行くから」

「は」


普通に言ってるけど、哲の家から結構かかるぞ。
ここまで。


二時間はかかるな。


「いいの、行くから泊まらせて」

「わかった」