終始、木下あかりは目をまん丸にして、意味がわかってないようだった。


俺の苛立ちは半端じゃなかった。



このイライラの原因を分かっていたはずなのに。

それを俺は知ろうともせず、シカトを決め込んだんだ。



素直にそれを認められるほど、俺は強くもなく。
だけども、それを全否定するほど…

俺は冷酷にもなれずにいた。



木下あかりの仕事が終わるであろう時間に俺は本屋の前で待つ。
逃げるかと思っていたら、意外にも木下あかりは普通に訪れた。


まあ、俺を見て苦虫を潰したような顔をしていたけど。


ファミレスに向かった二人。

席につくと、俺の仕事を窺う木下あかり。
タトゥーだって言うと、少しびっくりしていた。
色々タトゥーの話をしていると、木下あかりが俺に尋ねる。


「そうなんだ。じゃあ、なつおのその腕のにも意味あんの?」


魔除け。

“なんかにとりつかれでもしたの?”


ぐっと、来た。
とりつかれた……???