「そ、そうなんだ」


しほは平然を装いながら、返事をする。
それにきゅうっと、胸が痛くなった。


「俺、やるから」

「……うん」

「…しほ」

「……夏樹」


後ろから、しほの顔を覗き込みキスを交わす。
そのまま、少し見つめ合う。


「…好きだよ、夏樹」

「………」


情けなく、眉を下げる俺。
それにしほは微かに笑うだけだ。


“好き”を、“好き”で返せなくてごめんな。
俺はしほを苦しめるだけで。



ごめんな。


でも、俺一人じゃ発狂したくなって、おかしくなりそうなんだ。


そのまま、俺はしほを優しく押し倒すと欲望のまま抱きしめた。




「夏樹!な、つき!」


ただただ、俺を受け入れるしほ。



「っ、し、ほ!」



ただただ、しほを抱く俺。



悲しいよな、俺達。




なのに。

復讐と同じで。



どうしてピリオドが打てないんだろう。


傷付くのは明らかなのに。