軽く、そ!なんて言ったけど、心では沸き上がる気持ちを抑えるのに必死だった。


…結局。


木下あかりの中での戸川夏樹って存在はそれぐらいなんだ。
そんなちっぽけなんだ。


それが悔しくて、奥歯をかみしめる。


今日はこれだけでいい。
長居は不要だ。


さらっと、俺の携帯番号を木下あかりの手に書く。


「連絡待ってる」

とは言ったけど、彼女の反応からするとしてこないだろう。


…でも、それも想定内だ。


また、こっちから出向けばいいだけのこと。



俺は哲に今日の飯、食ってくるとだけメールをするとアドレスからある人を探した。


……しほだ。



【今日、暇?】



こう、書いてるけど。

【今日、泊まりに行ってもいい?】


ってことだ。


しほは、卒業と同時に都内の専門に行くことになった。
だから、今は一人暮らし。


それを都合よく使っているのが俺。


ひでえよな、俺も大概。